
MM2Hは、マレーシアで長期滞在するための複数回入国可能な長期滞在パスです。2026年時点の本土MM2Hでは、シルバー・ゴールド・プラチナのいずれを選んでも、マレーシアの銀行での定期預金と、基準額以上の住宅不動産購入が必要になります。
40代で移住や子どもの教育、不動産購入を同時に考える場合、ビザ期間だけでなく、定期預金の拘束額、州ごとの外国人購入規制、年間90日間の滞在要件をまとめて比較する必要があります。MM2Hは永住権や市民権を得る制度ではなく、条件を維持して更新する長期滞在制度である点も前提にしてください。
制度は2020年以降に複数回見直されており、預金額、購入期限、州の外国人取得基準、就労範囲は改正される可能性があります。契約や送金の前に、MM2H公式情報、認可エージェント、マレーシアの弁護士・税務専門家へ最新条件を確認することが必要です。
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MM2Hプラチナ・ゴールド・シルバーの違いを一覧比較

2026年時点の各カテゴリーの定期預金額・ビザ期間・就労可否
MOTACの一覧表(2026年10月13日確認)では、シルバーはUSD15万の定期預金で5年、ゴールドはUSD50万で15年、プラチナはUSD100万で20年のパスです。定期預金は条件付き承認後にマレーシアの認可銀行へ預け入れる仕組みで、物件購入費とは別に確保しなければなりません。
- シルバー:USD15万、5年、原則として就労・事業活動は不可
- ゴールド:USD50万、15年、原則として就労・事業活動は不可
- プラチナ:USD100万、20年、承認を前提に就労・事業活動が可能とされる
- 25歳から49歳:本人と配偶者・扶養家族の滞在を合わせて、年間通算90日間のマレーシア滞在が求められる
- 50歳以上:年間最低滞在日数が免除される扱いが公表されているため、申請時の年齢と運用を確認する
40代の日本人は、原則として年間90日間の滞在要件の対象です。単身で日本の仕事を続ける場合は出入国日数を管理し、家族帯同の場合は誰の滞在日数で要件を満たすかを認可エージェントに書面で確認しておくと、更新時の認識違いを減らせます。
プラチナは、定期預金と物件価格に加え、主申請者にRM20万の参加費が必要とされる点が大きな違いです。現地法人の役員就任や事業運営を想定するなら候補になりますが、単に不動産を保有して家族で滞在する目的だけであれば、就労権のために大きな資金拘束を負担する合理性があるかを比較してください。
不動産購入の最低価格と保有期間の比較
本土MM2Hでは、シルバーはRM60万以上、ゴールドはRM100万以上、プラチナはRM200万以上の住宅不動産購入が求められます(2026年10月13日確認)。ただし、この金額はMM2H上の最低基準であり、実際には購入する州・地区・物件種別に適用される外国人購入最低価格が上回る場合があります。
- シルバー:RM60万以上
- ゴールド:RM100万以上
- プラチナ:RM200万以上
- 対象:原則として居住用不動産。土地のみや商業用物件は対象外となる可能性がある
- 保有制限:購入日から原則10年間は売却が制限され、例外はより高額な住宅への買換え(アップグレード)とされる
たとえばクアラルンプールとジョホールでは外国人向けの最低購入価格がRM100万、セランゴールでは地区によりRM100万またはRM200万です(ペナンにはMM2H参加者向けの別基準があります。州ごとの条件は後述)。そのため、シルバーで申請してもRM60万の物件を自由に選べるとは限らず、希望エリアの州規制を先に確認しなければ予算が不足します。
MM2Hの物件は、短期転売や値上がり益の確保を目的に選ぶ制度設計ではありません。10年間の売却制限、州当局の承認、買い手層の狭さを前提に、自宅利用、子どもの通学、賃貸需要、将来の売却可能性を分けて判断することが必要です。
シルバー・ゴールド・プラチナの条件と必要資金

シルバー:定期預金USD15万とRM60万以上の不動産条件
シルバーは、本土MM2Hの中で最も低い資金水準から利用できるカテゴリーです。USD15万の定期預金とRM60万以上の住宅購入が基本ですが、クアラルンプールやセランゴールなどを選ぶ場合は、州の外国人最低購入額により実際の物件予算がRM100万以上になることがあります。
- 定期預金:USD15万
- パス期間:5年。更新可とされるが、更新時の制度・預金維持条件を確認する
- 物件購入:RM60万以上。ただし州基準が高い場合は州基準を優先する
- 就労:原則不可
- 政府参加費:RM1,000。別途、申請手数料、エージェント費用、保険料、物件取得費用が発生する
定期預金は全額が永久に使えない資金ではなく、承認後に不動産購入、医療費、子どもの教育費などの目的で最大50%を引き出せる仕組みが案内されています。ただし、MOTACの一覧表では引出しは1年経過後とされているうえ、引出しにはMM2H当局の承認や銀行手続きが必要です。物件購入期限(エンドースメント後1年以内)との前後関係、利用目的・残高・更新時の補充要否を事前に確認しないまま資金計画を組むのは避けるべきです。
シルバーが向くのは、現地就労を予定せず、5年単位でマレーシア生活との適合性を判断したい人です。一方で、40代の家族がクアラルンプール中心部に住居を求める場合、物件取得額、国際学校費用、車両費、医療保険料を考慮すると、ビザの最低ラインだけで予算を決めると資金不足になりやすい点に留意してください。
ゴールド:定期預金USD50万とRM100万以上の不動産条件
ゴールドは、15年間の長い滞在期間を得られる一方、USD50万の定期預金を維持する資金余力が求められます。物件のMM2H最低額はRM100万以上であり、主要都市の外国人購入基準とも比較的整合しやすいカテゴリーですが、シルバー・ゴールドともに通常の就労権は付与されません。
- 定期預金:USD50万
- パス期間:15年
- 物件購入:RM100万以上
- 就労:原則不可
- 政府参加費:RM3,000。主申請者・扶養家族ごとの申請関連費用が別途かかる
ゴールドでは、定期預金の最大50%を承認済み用途へ充当できる場合があり、物件購入に回す設計も考えられます。しかし、定期預金の基準額はUSDで定められ(MOTACは同額相当のリンギット建てでの預け入れを推奨)、円換算の負担は為替で変動します。さらに物件はRM建てで購入するため、日本円・米ドル・リンギットの三通貨の為替リスクを抱えることになります。
資産を流動的に運用したい人には、USD50万を低リスクの定期預金に置く機会費用が大きくなります。15年間の滞在安定性を優先するのか、資金流動性を優先してシルバーや別制度を選ぶのかを、家族の居住年数と日本側の事業・資産管理の予定から決めてください。
予算・滞在目的別に選ぶ最適なMM2Hカテゴリー

マレーシア不動産を購入して長期滞在したい40代に向くカテゴリー
40代でマレーシアの住居を実際に利用し、年間90日以上を過ごせるなら、総予算と滞在予定年数でシルバーまたはゴールドを選ぶのが基本です。就労しない前提で、まずは5年間の生活適合性を見たい場合はシルバー、子どもの進学期間や家族の居住拠点を10年以上で考える場合はゴールドが比較対象になります。
- 定期預金と物件の両方に資金を置けるが、5年後に計画を見直したい:シルバー
- 15年のパス期間を重視し、USD50万の流動性低下を許容できる:ゴールド
- マレーシアで会社経営、役員就任、現地就労を行いたい:プラチナを軸に就労条件を確認
- 居住地がサラワクでよく、不動産購入を義務にしたくない:別制度のサラワクS-MM2Hも比較する(条件の比較はMM2H完全ガイドで解説)
不動産を先に決めず、ビザの最低購入額だけでカテゴリーを選ぶ方法は失敗につながります。住みたい州で外国人が購入できる物件価格、完成済みか、管理費、賃貸需要、10年後の出口を確認したうえで、必要な物件額からシルバーかゴールドかを逆算する方が現実的です。
プラチナは、20年の長期滞在と就労・事業活動の可能性が魅力ですが、USD100万の定期預金、RM200万以上の物件、RM20万の参加費が重なります。事業目的なら就労ビザや他の長期滞在制度との費用・許認可を比較し、MM2Hだけで必要な事業許可や税務上の要件を満たせると考えないことが必要です。
子どもの教育と家族帯同を優先する場合の判断基準
教育を優先する家庭では、パスの年数よりも、学校の場所、通学時間、学費、扶養家族の資格を先に確定させるべきです。MM2Hでは、配偶者、21歳未満の子ども(実子・継子・養子)、21歳から34歳の未婚かつマレーシアで就労していない子ども、医師の証明がある障害のある子ども(年齢制限なし)、親・義親が扶養家族の対象となり得ます。
- 国際学校の入学時期と空席状況を、物件契約前に確認する
- 子どもが21歳以降も帯同する場合は、未婚・現地非就労などの条件を確認する
- 家族全員分の健康診断、医療保険、申請費用を予算化する
- 40代では年間90日要件を、本人または扶養家族の滞在予定で満たせるか確認する
国際学校の学費は学校・学年・カリキュラムで大きく変わり、年間授業料とは別に入学金、施設費、送迎、課外活動費が発生します。子どもの教育を理由にゴールドを選ぶ場合でも、ビザ期間が学費負担を軽減するわけではないため、定期預金の拘束資金と教育費を別枠で確保してください。
また、MM2Hは永住権や市民権への自動的な移行制度ではありません。子どもの大学進学、卒業後の就労、親の更新時期が重なる場合は、家族全員が同じ在留資格を維持できるかを、移民法の有資格専門家へ個別に確認する必要があります。
MM2Hで購入する不動産の条件と投資リスク

州ごとに異なる外国人購入最低価格とMM2Hの最低購入額
物件選びでは、MM2Hの最低購入額より州の外国人購入規制を優先して確認してください。シルバーのRM60万、ゴールドのRM100万、プラチナのRM200万は連邦制度上の基準ですが、州政府が設定する最低額、物件タイプ、地区区分、ブミプトラ割当物件の除外などが購入可否を左右します。
- クアラルンプール:外国人の最低購入額はRM100万
- セランゴール:地区区分によって異なり、Zone 1・2はRM200万、Zone 3はRM100万
- ペナン:一般の外国人はペナン島のコンドミニアムなどストラタ物件でRM100万以上。MM2H参加者は住宅に限りRM50万以上・2戸までとされている(ペナン州土地・鉱物局(PTG)の指針、2024年8月1日更新)。ただしMM2H側の下限(シルバーはRM60万)も満たす必要がある
- ジョホール:外国人の最低購入額は新築・中古ともRM100万。開発業者から買う場合は、テラスハウス20%、アパート・サービスアパート50%など、1つの開発で外国人が買える戸数の割合も決められている(ジョホール州土地・鉱物局)
- 対象物件:居住用コンドミニアム、アパート、戸建てが中心で、商業物件や土地のみはMM2H対象外となる可能性がある
州基準は改正されるため、販売広告の「外国人購入可」だけで判断せず、売買契約前に州当局の承認条件を弁護士へ確認してください。特に新築の予約販売物件は、完成時期、引渡し、外国人取得承認、MM2Hの購入期限がずれると、ビザ条件を満たせないおそれがあります。
投資面では、空室、家賃下落、供給過多、管理費上昇、為替差損、再販時の買い手不足を織り込む必要があります。賃料収入が出てもマレーシア源泉の所得には課税関係が生じ得るため、日本の税務も含めて税理士に確認し、利回りや売却益を保証前提で資金計画に入れないでください。
承認後の購入期限と原則10年間の売却制限
シルバー、ゴールド、プラチナでは、MM2Hパスのエンドースメント日から1年以内に住宅購入の手続きを完了することが求められます(MOTACの2025年5月28日付告知)。期限内に必要なのが売買契約の締結か、決済完了までかは手続き上の差が大きいため、承認レターの文言を確認してください。
- 購入期限:MM2Hパスのエンドースメント日から1年以内
- 売却制限:購入日から原則10年間
- 例外:より高額な住宅へ買い換える(アップグレードする)場合
- 定期預金の引出し:物件購入、医療、教育のために最大50%まで認められる場合がある
10年間の売却制限は、生活計画が変わった場合の最大の資金流動性リスクです。転勤、子どもの進学先変更、親の介護、日本への帰国、為替変動が起きても、希望する時期・価格で売却できるとは限らないため、購入資金を緊急資金や事業運転資金から切り離してください。
不動産取得には、売買代金のほか、印紙税、弁護士費用、州の同意取得費用、鑑定・登記関連費、管理費、修繕積立相当の支出がかかります。外国人(永住者を除く)の住宅取得には2026年1月1日から一律8%の印紙税がかかり、州の手数料は変更され得るため、売買契約に署名する前に、現地弁護士から費用見積もりと解除条項の説明を受けることが実務上の防御策になります。
MM2H申請の流れ・必要書類・費用の内訳

認可エージェントへの相談から申請書類提出までの手順
本土MM2Hは、原則としてMOTACに認可されたエージェントを通じて申請します。最初に年齢、滞在日数、家族構成、定期預金、購入予定州、就労の有無を伝え、対象カテゴリーと必要書類のチェックリストを受け取る流れです。
- 認可エージェントの登録状況、担当実績、報酬範囲、返金条件を確認する
- カテゴリーを選び、扶養家族を含めた書類を収集・英訳・認証する
- エージェント経由で申請し、条件付き承認を待つ
- 条件付き承認後、90日以内にマレーシアへ渡航し、銀行口座開設、定期預金、健康診断、保険加入を完了する
- パスのエンドースメント後、定められた期限内に対象不動産を購入する
処理期間は公式には示されておらず、書類の完全性、当局の審査量、追加の保安確認の有無で変わります。不備や追加照会があれば長期化するため、渡航や子どもの入学の予定から逆算して、余裕を持って準備してください。
エージェント費用はカテゴリーにより異なり、シルバーRM40,000、ゴールドRM55,000、プラチナRM70,000とする案内が一般的です。政府の処理手数料は、MOTACの一覧表で主申請者RM5,000、扶養家族1人につきRM2,500とされています(2026年10月5日確認)。エージェント費用にこの処理手数料や査証料、健康診断、保険料、翻訳費が含まれるかは業者によって案内が異なるため、見積もりの内訳を確認し、参加費、公証、渡航、物件の取得諸費用も含めた総額を把握してください。
パスポート・資産証明・無犯罪証明書・健康診断などの必要書類
申請書類は、資金力、身元、家族関係、健康状態を裏付ける資料で構成されます。日本で発行された書類は英訳、認証、発行後の有効期限を求められる場合があるため、先に取得し過ぎると申請時に再取得が必要になることがあります。
- 有効期間が十分に残るパスポートの写し、顔写真、所定申請書
- 当局(MOTACのMM2Hワンストップセンター)から求められた場合の資産・収入資料(銀行残高証明、取引明細、収入証明、年金証書、会社資料など)
- 無犯罪証明書(Certificate of Good Conduct等。日本では警察が発行する犯罪経歴証明書。18歳を超える主申請者・扶養家族が対象)
- 配偶者の婚姻証明書、子どもの出生証明書など扶養関係の資料
- MOTAC指定のクリニック・病院で受ける健康診断書と、医療保険の証明(60歳以下の申請者が対象。全世界補償のもの)
- 日本語書類の英訳、公証または必要な認証手続き
無犯罪証明書は申請時期との整合が必要で、取得方法や発行日からの有効期間はエージェントの案内に従ってください。金融機関の取引履歴では、一時的な大口入金だけでなく資金の由来を説明できることが求められる可能性があるため、給与、配当、事業売却、相続などの根拠資料も準備しておくと追加照会に対応しやすくなります。
税務では、MM2Hの保有とマレーシアの税務居住者判定は別問題です。マレーシアの所得税法では、年間182日以上の滞在で居住者となるほか、その年に90日以上滞在し、直前4年のうち3年で居住者だったか90日以上滞在していた場合も居住者となります(所得税法7条1項(c)、内国歳入庁のパブリック・ルーリング11/2017)。40代で年間90日要件を本人の滞在で満たす生活を数年続けると、182日未満でも居住者と判定される可能性があります。滞在日数のほか、現地不動産の賃料、現地事業・就労収入がある場合も課税関係が変わり得るため、日本とマレーシア双方の税務に詳しい有資格専門家へ申告・租税条約・送金の扱いを確認してください。
まとめ
MM2Hのシルバー、ゴールド、プラチナは、定期預金額、パス期間、物件最低額、就労可否で明確に分かれます。2026年10月時点の公式条件では、シルバーはUSD15万とRM60万以上、ゴールドはUSD50万とRM100万以上、プラチナはUSD100万とRM200万以上の不動産が基本で、プラチナだけが承認を前提とした就労・事業活動の選択肢を持ちます。
最終判断では、ビザの最低基準だけでなく、希望州の外国人購入条件、年間90日間の滞在、10年間の売却制限、為替・空室・供給過多のリスク、家族の教育費、税務を一つの資金計画にまとめることが必要です。制度改正で条件が変わるため、申請・送金・不動産契約の直前にMM2H公式情報、認可エージェント、現地弁護士、税務専門家へ確認してください。
マレーシア不動産について相談したい方は、お問い合わせフォームもしくは公式LINEからお気軽にご連絡ください。
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